リノベーション事例-築10年で二世帯住宅へ
地下室1階、地上二階建て、築10年とまだ新しい住まいを二世帯住宅へスケルトンリノベーション。
もともと1階にリビング、2階に個室と浴室などの水周りがあったのを、あらたに住む母親が生活しやすくするために、全て逆転。1階に母親の部屋と水周り、2階に子世帯のリビングと子供部屋を計画しました。
地下から1階までが鉄筋コンクリート造のため、スケルトンに出来る自由度がありつつ、構造に必要なコンクリート壁や窓の位置に苦労をしながら設計しました。
―完成写真―
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設計・施工で工夫した点
2階はプライベート空間を保ちながら明るく広いリビングに、1階は母親が暮らしやすい動線と居心地の良い部屋にしました。その結果親子世帯間のちょうど良い仕切り感が出来ました。
この家の特徴として、地下室から2階までスケルトン階段でつながっていたのですが、地下室を寝室とするために仕切る必要がありました。この唯一の地下室の明り取りを活かしながら仕切るために、階段の蹴込みを乳白のポリカーボネイト板でつくり、光が入るように考えています。乳白の柔かい光が寝室の明かりをやさしくつつみます。寝夜は間接照明が落ち着いた雰囲気をつくりだします。
新しい玄関は階段まわりに光を沢山入れていた大窓だったので、光を減らさないように床や寝室に入る扉を工夫しました。扉を開けた時のスキマは傘立て置場としています。
もこの家はもともとデザインの入った建物だったので、良い部分を殺さずあたらしくデザインする事と、二世帯住宅へ変えることでの広さのリスクを感じないように設計する事が難しいリノベーションでした。
コンセプトがあった家
この住まいは10年前の新築時から携わっており、建物の断熱性と気密性は高く、日当たりの良い2階は年中快適でした。「環境共生」というコンセプトのもとに隣り合う家と共有の植栽スペースがある家で、都会の住宅の割りに緑豊かな環境があるのが特徴です。


二世帯にすることは可能なの?
住まいは元々良くデザインされた住宅で、子供が大きくなって少し使いづらくなってきたところや、明るい2階にリビングがあればと考えた事はあったそうですが、でもここにもう一人の家族が増えるなんて事は全く予想していませんでした。住人が増える、しかも二世帯なんてはたして可能なんだろうか?
この計画はそこから始まりました。
計画がはじまると、いままでの生活していた住まいの不満などが出てきました。
車庫に大きく削られた玄関がとても狭いこと、リビングダイニングの、造りつけのダイニングテーブルに子供たちの動線を遮られていたこと、キッチンとリビングの段差が将来の生活の不安、などなど。


その分2階は 日当たりが良くとてもゆったりしていて、室内干しの洗濯物がよく乾くランドリールームとなっていて、便利ではあったものの少しもったいないような感じでした。
2階の寝室は広く明るい部屋で、収納も多くちょっと惜しまれましたが、2世帯とする事で贅沢は言っていられません。
現状地下室がホビールーム件納戸として存在しましたが、2世帯として5人が生活するためにここを寝室として活用することにしました。


施工中の様子
地下室を寝室として独立させるために、スケルトンだった階段を囲みました。蹴込み板(段の垂直部分)は光の通るポリカーボネイト板として、地下室が以前より暗くならないように工夫しています。
1階にはお風呂と洗面、トイレを、母親の部屋からすぐ近くに配置し、狭かった玄関を思い切って庭側の大きな窓につくりました。これで1階は母親の部屋を中心としたコンパクトな動線となり、とても使い良くなります。


1階の工事は、今までがらんどうだった所に沢 山の間仕切りをつくるのですが、水周りの配管と床暖房の配管をうまく通すのに苦労がありました。


これは以前の1階のトイレのガラスブロック窓。
今度はお母様のクローゼットの中となるため、中にLEDを仕込んで外の車庫をほんのりテラス照明器具として生まれ変わります。
