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本郷の家

高い断熱気密性能を持つ都市型3階建てのFPの家。紀州杉材を使った認定長期優良住宅です。3方を3階建て以上の建物に遮られた環境に、窓や上階への抜けと構造が許す限りの広がりを工夫して、都会の狭小地に明るく暖かな住まいをつくりました。

この家は2018年度の地域型住宅グリーン化事業・長寿命型/地域材/3世代同居の採択を受けています。

左は景観条例の申請用CGです。文京区は長期優良住宅に限り一般住宅でも厳しく景観条例が定められ、外部の色・素材はもちろん、植栽の樹種や数、寸法まで細かく決めて申請を行います。

狭小地では車庫とアプローチ、自転車置き場などのスペース以外に大きな庭は設ける事は出来ず、条令を満たすために、隣地境界ブロックに壁面緑化を行う事にしました。

地鎮祭の笹はオーナさんのご実家の千葉から持ってきたものです。産地伐採~直送なので青々としてきれいですね。

狭い道路の地盤補強工事

 

間口が小さ目の三階建てで、傾斜地という事もあり地盤補強のために柱状改良を行います。

そして基礎工事に入ります。道路も狭く、根伐り土搬出は小型ダンプです。

狭小間口の3階建ては高強度の金物を使用

隣地側が1mほど下がるため、土留めに90センチほどの基礎が埋設されていて、隣地側から50㎝ほどは改良杭は逃げざるを得ません。その為の基礎は偏芯の設計を行い、鉄筋量が多く底盤も厚くなります。

また狭小間口と相対する広がりのある空間設計を満たすために、ホールダウン金物などのアンカーボルト類は強度の高いものが求められ、数も多くなります。

青いボルトは通常の倍以上の引っ張り力を誇る特殊な高耐力アンカーボルトです。

コンクリートは30kN以上の強度によって、100年の耐久性を持つ事が出来ます。

外周部の基礎の立上り幅は180㎜。厚くする事によって、コンクリートの中性化を遅らせ、耐久性が高くなります。

右の写真のピンクと水色の管は給水給湯配管です。最近はこのフレキシブルタイプが一般的になりつつありますね。

ヘッダーを介しそれぞれがつながるため交換、修理が用意、各水栓に単独に配管されている事によって同時使用の水圧の影響を受けにくい方式です。

​木構造にも高強度の金物を使います

基礎工事で設置した高耐力アンカーボルトは、高耐力引抜に対応する柱脚金物が接続されます。

材の欠損が少なく接合部の強度が高い事とFP工法との相性が良いため、プレセッターという金物接合構法を用います。

柱脚はホゾパイプで、ホールダウンなどの引抜金物の役割も受持ち、柱と梁、梁同士の接合は、ボルトと金物方式のため材を大きく欠き込む事が無く、現在の105、120㎜の柱寸を用いる在来工法では特に効果を発揮します。

構造材は50%以上が紀州の杉、ヒノキ材

土台は紀州桧、柱は紀州杉、梁は一部大きな荷重を受け持つ所は欧州赤松集成材、それ以外は全て紀州杉です。

国産の杉やヒノキはとても木の香りが良いですね。

高い気密・断熱性を誇るFP工法

FP工法とは、壁の厚さと同じ105㎜の圧縮成型したウレタンパネルを、柱、梁内に入れ、一切の空間とスキマを断熱材で充填する、とても高性能な「高断熱高気密構法」です。

ウレタンパネルと柱、梁、その他すべての継手には気密テープを張り高い気密性能を確保。ウレタンパネルは木のフレームを持ち圧縮成型されているので、経年収縮がほぼ無くとても安定した性能を長期間保つとともに、構造強度の余力として働いてくれます。

この建物は性能表示制度の2等級(建築基準法の1.25倍)の強度を持りますが、実際はそれを上回る安心があります。

屋根は遮熱と通気層を持つウレタンパネルを屋根垂木間に充填し、このあと更に現場発泡ウレタンを吹き付けます。

東京の熱い夏の日差し対策として機能します。

性能を保つための配管類​

FP工法等の高断熱高気密構法においてとても重要なのが、計画換気です。

いわゆるシックハウスの24時間換気とは違い、すべての空間の空気を約2時間かけて完全に入れ替える常時換気です。生活上発生する汚染空気と湿度などを良い状態に整えます。

グレーのダクトが水周りやキッチン、納戸等から集まり、換気扇設置場所である浴室の天井裏に集まっています。そのほかに壁や天井裏にはお湯や水、ガス、排水等たくさんの配管が通っています。

屋根の断熱は二重の付加断熱!

屋根の断熱は、都心部の3階建てでは高さの制限があって屋根の厚さを厚くする事が難しく、通常のFP屋根パネルより薄いパネルを使います。

今回は厚みの足りない分を更に現場発泡のウレタンを吹付ました。

高性能サッシ・サーモスX

外壁内の通気層も建物の耐久性においてとても重要です。通気が滞ることなく連続させることがポイントになります。

全ての窓はLow-Eガラスを使った断熱サッシ​(サーモスX)です。

ここでは一部の大きな窓や吹抜けなど、外気の影響と対流が起きやすい箇所はトリプルガラスサッシを使っています。

本郷の家の特徴は

さて、本郷の家の特徴として3階建の2階に特別大きなリビングがあり、このリビングを明るくするための3階までの大きな吹抜けがあります。

この大空間に耐震等級を満たすために、それぞれの両面に構造用合板を打ちつける「二重の壁」が2ヶ所存在します。

この壁を造る時はパズルのような手順があって、うっかり間違うと全ての合板に釘を全て打つ事が出来なってしまうのを注意をしながら大工は作業を進めます。

希少になりつつある左官の外壁

外壁はモルタルに​ゆず肌吹付塗装。​今は左官職人が少なく、希少な外壁材になりつつあります。

風合いは自然のマットな小粒の肌合いになります。

中身は特殊なラス下地と網が入っていて、従来のものとは違い火に強く割れない高強度モルタル。

緑が茂るのが楽しみ​です

そして仕上げ進むと、内外ともに形が出来上がって来ます。

外部は景観条例のため、植栽まで細かく計画を立てたものを植えます。まだ寒いので緑は寂しいですが、葉が茂った頃また撮影しようと思います。

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