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Sanchaco(サンチャコ)
ねことともに街とつながる

Sanchaco(サンチャコ)は、暮らしや働き方を通して、「一匹でも多くの猫を幸せにしたい」という思いから始まった賃貸住宅、ワーキングスペースそして小さなレンタルスペースからなる三軒茶屋駅から徒歩5分の複合施設です

サンチャコ パース

この建物は、木造の集合住宅、ワーキングスペース(事務所)、レンタルスペース(店舗)として安全に効率よく機能させるために、「耐火木造」という特殊な工法を用いています。木造にすることによっていくつかのメリットが生まれる上に、耐火にすることで以下のような更なるメリットがありました。

東京都では、燃え広がらない・燃えないまちを目指して 、木造住宅密集地域のうち特に改善が必要な地区を、火災に強い建物に建て替えるプロジェクトを行っています。この地域も世田谷区内で建て替えを推奨している地域で、耐火建築物に建て替える事により解体費などの助成を受ける事が出来ます。

これまで建っていた古い木造アパートは役目を果たし、解体されます。そしてあらたに「サンチャコプロジェクト」として耐火木造3階建ての複合施設に生まれ変わります。

火に強い木造建築には丈夫な基礎が必要

耐火木造のメリットは、狭い敷地でも建築出来る事と、建物が軽いという木造のメリットを活かして狭い道路や狭小地など、大型重機が入れない敷地で、鉄骨や鉄筋コンクリート造と同等の「耐火建築物」が可能になることです。

軽いとは言っても木造の中では重い方で、基礎はそれなりに重厚になります。

鉄筋量やホールダウン金物のボルトなどが多く入るため、基礎の厚みを増したり深くするところが多く、掘削や配筋作業は手間のかかるところです。

​コンクリートが打ちあがるとほとんどわからず、一般の木造基礎と同様ですね。

建て方は順調・・・のはずが

一日目は1階~2階を組んで3階床まで。道路が狭くクレーン車を設置できないため、ガータークレーンという足場にガーターレールを設置して現場内を自由に移動できるスグレモノを使いました。

ガータークレーンのおかげもあり1日目はすこぶる順調でしたが、翌日の予報はまさかの「雪」。

雨なら何とかなりますが、東京の雪はすぐ道路がマヒするので、搬入車次第の建て方は残念ながら断念せざるおえません。

​狭小地に鉄骨階段を設置するなら軽量化が必須!

中二日開けて建て方を再開しました。この日はもっぱら鉄骨階段5基の設置がメインです。

​道路は通行止めとなり大型トラックを横付けします。この階段搬入作業で2時間。

ガータークレーンは道路を塞がず使いやすい、しかも静かとい本当にスグレモノなんですが、欠点は鉄骨階段のような重いものを吊り上げるのが出来ない事。今回は狭い道路+迂回路がないことからクレーン設置は問題外として、鉄骨階段の方を材料や形の工夫によって「軽量化」しました。​

作業は天候により3日遅れましたが、順調に進みました。これから耐火木造の作業を進めていきます。

耐火被覆の重量によって構造金物と耐力壁がとても多く、梁も大きく柱も様々なサイズ。金物と筋交いや合板が干渉したり手順が難しいなどがあり、これからの作業には工夫を強いられます。

​耐火構造は壁の中も重要!

内部の耐火構造を造っています。耐火構造にするため、木造部分を全てくるむように21mmの石膏ボードを2重に張って行きます。

​石膏ボードを張る職人たちは、毎日毎日各部屋に積みあがった分厚い石膏ボードと格闘です。

この建物は、耐火木造+高気密高断熱なので、壁厚いっぱいの高性能グラスウールを屋根、外壁全てに充填します。

更に、集合住宅とワーキングスペース(事務所)、レンタルスペース(店舗)と、法規上の用途が分かれているので、それぞれの堺は「界壁」という防火上の区画としなければなりません。

界壁は防火とともに遮音が求められるので、吸音グラスウールをパンパンに詰めます。そして、仕上がってから取り付ける棚や手摺などの下地を入れると、もうおなかいっぱいという感じです。

何といっても二重に張る石膏ボードが耐火の醍醐味?

耐火構造は木構造を21㎜の石膏ボードを二重に全てくるむので、サッシは開口部分も先に二枚張ってから取り付けます。

1階のエントランスと廊下は、床の立ち上がりと壁の堺を先付けします。二段になっているのが、それぞれ石膏ボードの厚み分です。​

耐火の壁や天井の貫通部分は全て特殊な仕様で行い、隙間には耐火パテなどの不燃材を充填します。​

​ここでは設備配管などは一度耐火の天井や壁を造ってから、二重の壁、天井を造って隠すようにしました。

そうしないと貫通だらけで施工が大変になる上に、耐火の性能にも影響してしまうので。

それでも複合用途の建物は配管類が多くて、耐火構造の場合は計画を慎重に行う必要があります。

3階の4世帯は、それぞれ真ん中だけ石膏ボードを張らずにつなげてあります。

実はこれ、メゾネットの工事中の横移動不可を回避するために、最後まで界壁のボードを貼らずにおいたもの。仕上げる直前に貼るので、仕上げ工事の職人はいちいち階段を下りての移動になります。

工事中だけですが・・・メゾネット式の難点です。

ミルフィーユ状態の耐火の木造階段

1階から2階への階段は6段目までが鉄骨のスケルトン階段で、その上からトイレの天井となるため、耐火被覆を行う木造階段となります。

24mm合板で組んだ上に、21mm石膏ボードを二重張り。合板を挟んで裏表合わせると全部で5枚のミルフィーユ状態です。

​全て被覆をやってから、上に木の段板と蹴込板を貼ります。

外壁はいつもの左官​です

外壁は準耐火仕様のモルタル。

ノンクラック構法と呼ばれる補強の金属網一体の下地の上にモルタルを塗る仕様です。

​通気層となる縦胴縁は、縦に455mm間隔でで打ち付けるのが一般的ですが、これはその半分の間隔、227.5mm間隔に細かく打ち付けます。

エントランスにはポスト、集合インターホンなどの開口や取付ボルトがあります。

​これはモルタルの下塗りの状況。二回目に金鏝で平に仕上げます。

​窓には提灯を模した西日除け

完成に近づき、いよいよ足場の解体。

外壁は濃いめの青。窓庇の横には飾り兼用西日除けの木のパネルが付いています。

丸い穴はサンチャコのアイコンである「ちょうちん」を模したもの。

夜部屋の明かりでちょうちんに見える(かも)。1階には実際にちょうちんが並んでぶら下がります。

メゾネット式の各戸の階段は、建て込みの時に工夫した「軽量化階段」。ゴムの木の段板を貼ったスケルトン階段になりました。

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